Villar de Mazarife → Astorga 31.1km 5万206歩 あと262.8km

今日は30km超えの行程。今までの最長です。初めて、バックパックのトランスポートサービスを利用することにしました。宿泊予定のアルベルゲ(巡礼宿)まで大きなザックを車で運んでくれます。宿泊の予約がなくても大丈夫。前日の夜に、アルベルゲのスタッフに電話を入れてもらって集荷をお願いし、朝の出発時に、封筒付きの荷物札に送り先と名前、連絡先を書いて封筒にお金を入れ、ザックに結び付けて玄関に置いておくだけ。いい商売を考えたものです。巡礼路は1本で逆走もなく、せいぜい人が1日で歩く距離なので、車で荷物をまとめて届けることは宅配業者よりも手間ではありません。これを毎日利用して、身軽に楽しく歩いている人たちにたくさん会いました。ザックの中身のほとんどは、宿泊の時だけに必要なものなんだから。全行程を「歩く」ことにはこだわっても、全行程を「担ぐ」ことにこだわりはありません。とはいえ、6ユーロは安いアルベルゲの1泊分にも相当するので、そんなにしょっちゅうは利用できません。毎日歩いて、25kmまでは比較的楽しく歩け、25kmを超えたとたんに修行と化すことがわかってきました。そのほか、遠くに見える村までざっと何kmあるかもわかるようになりました。感覚が変化しているのがわかります。

みずみずしい野菜畑がどこまでも続きますが、実は元は非常に荒れた土地のよう。何も植えられていない、こんな地面もときどきあります。さまざまな工夫で水を引き、豊かな畑にした先人に頭が下がります。途中の村々の教会の塔は、いつもの「こうのとり団地」になっていました。

美しい橋のあるOrbigoでメインルートと合流しました。いくつもの「オルビゴ」の名がある村が続いています。

強い日差しを遮るものもない道に、たまに現れるあれこれにほっこりし、励まされ、ようやくアストルガの街が見えてきました。あとひと登り。

アストルガはなんと紀元前14世紀から続くという歴史ある都市。ローマ時代の遺跡も数多く残っています。

ガウディが設計したもののそのデザインをめぐって司教と対立し、完成がかなわなかったという司教館、ステンドグラスが見事というサンタ・マリア大聖堂などの見どころもありますが、残念、閉館間際の時間帯で、入ることができませんでした。洗濯に励んでいる場合ではなかった。洗濯を終えてゆっくり散歩をしても十分に見て回れる小さな村に泊まっていた今までとは違うのだとやっと気づきました。

しょうがないね、また今度。またこのスペインの古い小都市を訪れる機会があるだろうかという疑問にはふたをして、自分に言い聞かせました。

ガウディさん、突き抜けたことをするのは、たいへんだったろうね。また機会があれば会おう。

古くからカカオが持ち込まれたというここには、チョコラテリアもあちこちに。ずっしりと重いチョコを買い、伝統衣装をまとった2体の人形が時を告げる時計台がある市庁舎前の広場のバルで夕食。昨日パラドールで一緒になったセレブ巡礼マダムが近くのテラス席にいて、なんだかこの店で当たりだったとうれしくなりました。

ちゃんと先に着いて私を待っていてくれたザックから寝袋を取り出し、ローマ時代の夢を見ようと眠りにつきました。