熊野詣で――発心門王子から
熊野古道に出かけてみました。とはいえごめんなさい。これもほんのさわりだけ。発心門王子から熊野本宮大社へ、最もレギュラーで初心者向けの、7㎞の緩やかな下りコースです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラで出会った外国の巡礼者たちは皆、「KUMANO」を知っていました。いつか行ってみたいと夢を語ってくれました。
そんなに有名なら手垢がついているのではないか、外国人で込み合っているのではないか。ちょっとそんな覚悟もして、のぞきに行きました。
宿泊は湯の峰温泉。日本最古の温泉だそうです。そして、流れに湧く高温の「つぼ湯」は世界遺産。もちろん順番を待って浸かりました。とはいえ、熱くて長くは浸かっていられません。木塀の下に川の流れが見えました。
古き良き山間の温泉の風情がたっぷり残っている、素晴らしい温泉街でした。小さな民宿にも、同じ匂いの温泉がひかれていました。
翌日の朝食を断り、熊野本宮神社のそばに車を置いて、始発バスに乗って発心門王子へ。ミニ熊野詣のスタートです。
予想に反して、日本の古代からの信仰が染み入るような、厳かで静かな道でした。ぜひ世界の友人にも歩いてほしい。きっと日本ならではのよさを満喫できるはず。やがて見えた本宮の大鳥居は神々しく、モンテ・ド・ゴソからはるかに見たサンティアゴの大聖堂の尖塔を思い出します。
行動食はもちろんこれ。前の日に買っておいたものだけど、柿の葉にちゃんと保存効果があります。遠くの大鳥居を眺めながらいただきました。
屋根の美しさに圧倒される熊野本宮大社。必ず、もっとちゃんと歩いてみようと決心しました。