➀信濃川(千曲川)源流~佐久穂町

中学生の頃、音楽一家の友人の家で、スメタナの「モルダウ」を聴かせていただきました。その時友人の弟が言った言葉。「これは、モルダウという川の、源流から大河に注ぐまでを曲にしたものだよ」。なるほど、最初の1滴からちょろちょろと流れ出し、やがて渦を巻き、最後はゆったりと流れるさまがまざまざと浮かぶ。それから、川をたどってみたいと思って数十年が過ぎました。思っているだけでは何も始まらないので、まずは出かけることにしました。日本一長い川、信濃川(長野県内は千曲川)、367㎞です。旅行ライターとして仕事をする中で、地域がだいぶ離れていても、同じ川沿いには同じような方言が生きていることや、源流からの水の恵みが絶えることのないために山を信仰してきたという話も聞いたことがあります。

千曲川の源流は、奥秩父の甲武信ヶ岳にありました。甲州、武州、信州を分かつから甲武信ヶ岳。その名前だけでも、わくわくします。

ちょろちょろの源流でも、多くの沢を集めて、流れはすぐに立派な沢になっていきます。

甲武信ヶ岳は、コメツガの林と林下の苔が美しい、みずみずしい山でした。

川上村はレタスの産地として知っていましたが、なるほど、川上だから川上なのかと納得。ついでに言えば、千曲川は、くねくね曲がるからその名なんですねえ。きっと。

周辺には古城の跡も多く、秩父事件など、歴史の舞台にも多く出会いました。やはり川は、いつの時代も重要な存在なのだと再確認。次回が楽しみです。