会津磐梯山

40年ぶりくらいの磐梯山へ。まずは裏磐梯。このいろとりどりの沼が、明治21年の磐梯山の爆発によってできたなんて、そんな新しいのがなんとも不思議。

40年前には、一人で登りました。そしてこの、今は廃墟となってしまっている「中の湯」に泊まったんです。電話で予約をすると、「小屋に行くとおばばがいるからね」と言われました。どんな「おばば」だろうと、どきどきしながら到着すると、黒ぶち眼鏡のしゃきしゃきしたおばば。「裏に源泉があるから見てきなさい」「お風呂に入りなさい」とてきぱきと指示してくれます。地面から吹き出たばかりのお湯にゆっくり浸かり、夜は、私の人生でも最大のひとつといえるほどの金縛りに苦しみました。悶絶の末にやっと起きたけど再び眠るのが怖くて、よほどおばばの部屋を訪ねて一緒に寝てもらおうかと思ったほど。大きな施設が朽ちるままの様子を見ると、そんな思い出も愛おしく思い出せます。でも源泉は今も盛んにぶくぶく湧いていました。磐梯山はほんとにエネルギーに満ちた生きた山。あのすさまじい金縛りは、たくさんの人が噴火で亡くなったからかなと当時は思ったけれど、このエネルギーの故かもしれないとあらためて思いました。

雨の予報だったのに、ほどよく晴れて、桧原湖も猪苗代湖も、飯豊の山も、よおく見えました。山が「おう、来たか」と、晴らしてくれたんじゃないかと、いつもながらよい解釈をして。久しぶり。私も山小屋もちょこっと(あくまでちょこっと)くたびれたけどあなたは変わらないねえ。