León あと311.7km
朝一番にレオン大聖堂の内部へ。中に入ったとたん、全員がため息をつきました。美しく緻密なステンドグラスが前後左右、足元から高い天井まで、びっしりと光をきらめかせています。花や動物、聖人など、さまざまなモチーフが色とりどりに描かれ、特に円形の「薔薇窓」の美しさは格別です。天からの恵みを使ったこの芸術はやはり教会ならでは。ブルゴスの大聖堂の天井画の数々も素晴らしかったのですが、どういう祈りを込めてこうした教会が設計されるのでしょう。ふと、前に出会った、白杖をついた奥様を連れて巡礼をしていたご主人は、この美しさをどう伝えるだろう、と思いました。きっと、あのご夫妻だからこその伝え方があるのでしょう。
数日前、巡礼路のとある町の大きな教会で、拝観を終えて外に出た直後に、映画にでも出てきそうないかにもな黒衣に無表情な「管理人」さんが中を確認せずに施錠したのを見てひやりとしたことがありました。ちょうど閉扉時刻だったのですが。暗くて冷たくて天井が高くて、たくさんの聖人の像がこちらを見ているあの空間に朝まで閉じ込められたらどうにかなってしまいそうと思ったのですが、ここなら閉じ込められてもいいかな。とはいえ、夜はステンドグラスの光が消えてしまうのですね。忘れてました。
今宵の宿は、2回目の自分へのご褒美、旧サン・マルコス修道院の壮大な建物を使った国営ホテルのパラドールです。ここも、1軒目のときと同様、ホテルのレストランは恐れ多くて、どしゃぶりの中旧市街へ食事に出かけました。イベリコ豚のチョリソ、生ハム、モルシージャなど「レオンスペシャル」がとろけるようにおいしく、ワインも進んだ夜でした。