Ponferrada → Villafranca del Bierzo 22.7㎞ 4万2066歩 あと186.4㎞
夜明け前にポンフェラーダを出て、村々をたどりながら西へと向かいます。スレートを上手に屋根に壁に利用した家々、天井画の美しい教会もありました。
カカベロスCacabelosに近づくにつれ、だんだんブドウ畑が増えていきます。よく見るとブドウ畑にも個性があり、几帳面にきちっと並んだもの、ワイルドで自由奔放なもの。でもどれも、幹はがっしりと太く、葉は輝くような明るい緑です。カカベロスの教会には、ブドウと麦を表したステンドグラスもあり、道端には昔の巨大な「絞り器」が置いてありました。太い太い柱をぎりぎりと締め上げて絞ったブドウの果汁がここにたまり、そして芳醇なワインになります。ビジャフランカ・デル・ビエルソまで、ブドウ畑はどんどん増えていき、360度、ブドウ畑の丘に囲まれました。ワイナリーもたびたび現れ、ワイナリーの名のオブジェをおしゃれに冠した畑も見られます。
ビジャフランカ・デル・ビエルソは、楽しみにしていた町でした。なんかその名前がいいんです。ブルゴスやアストルガはちょっと強そうでこわい感じ。レオンやサリアは洗練された都会って感じ。特にわけもなく、そんな想像をするなか、この名前にはロマンを感じていました。町の入り口付近のサンティアゴ教会には「赦しの門」があります。病気や何かの理由で巡礼を続けられなくなった人には、この門に到達することでサンティアゴ・デ・コンポステーラに巡礼したと同じとみなし、巡礼証明書が発行されるそうです。現在も医師の診断書があればそれが可能だそうです。「赦し」という言葉はなんかほっとさせられます。
修道院では自家製ワインを作っているとのこと。曲線の坂道が多い町のそこここに、さりげなく中庭に置かれた大甕や、醸造所の煙突が見られます。
思えば、この巡礼の旅は、そこの産業、とりわけ農畜産業を目の当たりにし、その出自まで見た土地のものを味わい、人々の暮らしや信仰に密着し、地元の人や世界中から来た人々と交わる、代えがたいものでした。日本でもこんな旅のしかたがあるといい。
今宵の宿は3軒目のパラドール。あれれ。たどり着いたそこは、思いのほかカジュアルで近代的なホテルでした。パラドールは「歴史的建造物を利用した」「超高級なホテル」というのは勝手な思い込みだったよう。けれどそこは、分相応で居心地のいいところでした。受付の女性が地図を取り出し、見どころを説明してくれます。「すっごくきれいよ」町への愛情が感じられました。大きなお城が中心部にあるじゃない。「ここは?」「そこは見ることはできないの。人が住んでいるから」「!!」
でかけた教会も川も、女性が言ったように美しく素晴らしいものでした。
分相応だったため、安心してホテルのレストランでの夕食をお願いしました。ビエルソの赤ワインのリストからチョイスして、おかわりでまた飲み比べて。タパスは土地のおいしいものばかり。パンがかじってあるのはご愛敬。
食事の店選びには当たり外れがあるものですが、ここは本当に当たり! いい気持ちになって、雲の上を歩くように部屋に戻り、気持ちよく落ちていきました。